ほしぞら1/2

ぽつぽつ書いている二次創作小説たち。ジャンルごった煮。Twitter@bbb_kzs

【伊達主】きみだけが知っている

チハルのイラストからSS書かせてもらいました。

伊達主可愛いです。今後リーダースも絡めて書いていきたい所存。

嶺蘭の話とタイトルがかぶっていたので変更しました(2016.02.08)

 

2014.12.01.

 


「ーーきょうやさん、重いです。」
落とされた言葉とは裏腹にくすりと小さく笑った彼女の気配が預けた背中、直に伝わった。相変わらず素直じゃない、そんなこと言えばきっと頬を膨らませてむくれるのだろう。拗ねられるのは望みではないので、その言葉はこっそりと飲み込んだ。

ありがたいことに随分と忙しい日々が続き、休みの日といいつつも猛獣たちのフォローだとかなんだと事務所に缶詰状態、仕事に追われる日々だった。ちゃんとオフが取れたのはいつぶりだろうか。軽く目を瞑ればとくとくと聞こえる彼女の規則的な心臓の音とぺらりと彼女がゆっくりとページをめくる音。ゆるやかに流れる時間に少しずつ身体の力が抜けていくのがわかった。
ふと、小さく頭上から聴こえたやわらかなハミング。聞き覚えがあるとはいえ、
「…それ3Majestyの曲だろ。X.I.Pの曲を歌えよ、レディ?」

少しだけおどけたように呟けば、くすくすと彼女の笑い声が大きくなった。事務所が同じで戦友のようなライバルたちのものだとはいえ、つい口を尖らせてしまうのは彼女の前だから仕方ない。
「でもなんだかんだ京也さんも好きじゃないですか、3Majesty。…ふふ。拗ねてるんですか?」
面白がっているように尋ねられたそれは図星中の図星。いつもならおどけて誤魔化すだろうことも疲れがたまっていたからだろうか、少しだけ嫉妬のような気持ちを抱いていたのも自覚していた。素直に敵わないな、と思わず苦笑がこぼれた。
「だったら悪いか?俺だけを見ていてほしいんだから。」
言ってしまえと本音を零せば、余裕そうに小さく笑って揺れていた身体が固まったのがわかる。

顔を背けても見上げた斜め先でショートカットの髪から覗く朱色に染まった耳が見えていることには気づいてないんだろう。ふふふと今度は俺に笑いがこぼれる番だ。


愛しい。胸があたたかなものでいっぱいになる感覚に、ああそうかこういうことかと思わず柄にもなく泣きそうになった。
「…なあ。」
愛しい君にキスを落とさせて。どうかいつまでも隣にいられるように願いを込めて。